ままかりは魚の名前じゃない!?

皆さんは、「さっぱ」という魚をご存じですか? 多分、さっぱり分からないとおっしゃる方も少なくないんじゃないかと思うんですけどね。

さっぱは、岡山県を中心とする瀬戸内海沿岸地域や九州の有明海沿岸地域などでポピュラーに食されている体長20センチほどの青魚で、ニシンの一種です。ただし、多くのニシン科の魚のように回遊魚ではなく、内海や河口付近の汽水エリアに一年中落ち着いて暮らしています。

そんなさっぱは、小骨の多い魚ではありますが、非常に淡泊で、身の締まりもいいですからね、刺身や唐揚げで食べると、とても美味しい魚です。そして何より、酢漬けにすると小骨も気にならなくなり、ごはんがいくらでも進むと言われています。そして誕生したのが「飯借り(ままかり)」という言葉です。

そう、ままかりは正式には魚の名前ではなく、さっぱの酢漬けを示す料理の名前だったんですねぇ!!

ままかりはその昔、漁師たちが浜で食べる所謂漁師メニューの一つでしたが、これをおかずにして白いごはんを食べると、ついつい食べ過ぎるものが続出! 自分たちの炊いた白米だけでは足りず、隣へごはんをもらいに行く光景が多々見られたところから、ごはんを借りる→まんまを借りる→ままかり、バンザ〜イ!! となったそうですよ。

という事で、今では岡山を代表する郷土料理となったままかり、実際には魚の名前ではありませんが、どうやら”さっぱ=ままかり”という事で、料理名であると同時に魚の名前としても、その呼称は全国的にもすっかり定着してしまっています。特にままかりを乗せた「ままかり寿司」は、駅弁としても超有名!! いつか瀬戸内を列車に揺られて旅する事があれば、こんなうんちくを語りながら、その名前の由来の真相を自分たちで確かめてみてはいかがでしょうか?